入試問題集(受験問題集)から始める愚かさ(1)

一般の個別指導塾を見ると、どの教科でも入試問題を先にやるという形をしているようです。 確かに「他の人の解いていない問題を自分だけが解かせてもらえる」 「難しい問題を他の人より先に教えてもらえる」と考えるならば、 時間が無い受験生にとって入試問題を先に解けると得だと思えるかもしれません。 しかし、学校の勉強しかしていない生徒につきっきりで1時間、 という個別指導では、入試問題を2問解くのに精一杯だと思います。
学校の勉強だけで入試問題をすらすら解けるような生徒はなかなかいません。 たとえば入試問題2問を週で2回、つまり週4問というペースでいくと考えると、 1ヶ月で16問、1年間で192問ということになります。 192問で入試問題すべてが修まるはずもありません。 その上、もし途中で192問のうちどれかがわからなくなってしまったときに、 復習する時間もありません。入試に辿り着かずに瓦解します。
1授業2時間の場合も同じです。たとえ時間が少し多めに確保されたところで、 同じやり方なら当然のことながら瓦解します。 元々はわかっている積もりの雰囲気で解いていたことが、 いざ入試を前に見直してみると各知識ばらばらで、 繋いでいる知識がわからない・解けたはずなのに解けない。
…それを「忘れた」と呼ぶ人もいますが、 大本必要な知識がテキストにも講師の説明にも無いことが原因であります。 各分野において穴のない一本筋の通った理解が必須の場面を、 これまで出た問題のつまみ食いだけで乗り切ろうとしているのです。
どこに穴があるのか考えもせずにつまみ食いを続け、 しかも穴が埋まったかどうか確認を怠っていれば、 当然穴は放置されたまま残り、当日「忘れてしまう」のです。 学問から見れば当たり前のことが起きているだけなのですが、 そのことにほとんどが気づいていないのが現状のようです。
それではどの問題がわからなくなってしまったのか捜し出せれば大丈夫だろう、 と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、大抵の受験生の悩みは、 そのような復習量の不足にあるわけではありません。 答えの筋道やその基になる考えなどを具体的に教わると既に習った内容しか使われておらず 「なーんだ」となるのに、独力で答える状況では1文字も解答が書けない、 という事態にあるのです。 この瓦解の原因と塾・生徒の感想は20年間、全く変わっていないのであります。
塾は毎年初めて起きたような顔をして過ごして良いものだろうかと思い悩んでいます。 この現状を授業で打開してみせてこそ、個別指導の名を冠するに値する塾であります。

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